とことん自分と向き合って…
数日前に、高校3年生にとって、「AO入試は、自分と向き合う良い機会」について書きました。
この梅雨の時期というのは、生徒の進路相談を受けることが多く、どうしてもそのことを思い出してしまいます。今日は、上記の記事に書いた生徒とは別の、高3の時にとことん自分と向き合った結果、意外な、でも最善な選択をした男子生徒の話をしたいと思います。
その方は、彼が中3の時に担任した生徒で、高校生になってからもたびたび訪ねてくれるので、折々話を聞いていました。彼が1番進路選択で悩んでいたのは、高校1年生の時に、理系にするか文系にするかということでした。
彼は、さんざん悩んだ結果、「理系」を選択しました。高校時代は勉学に打ち込み、かなり成績は良かったのですが、高3になって、いざ大学受験となった時に、
「理系も勉強したからできるけど、興味があることは文系なのかな?」
と思うようになったそうです。
彼は、自分がいったい何に関心があるのか、徹底的に向き合いました。ノートに自分が興味があること、その理由、大学では何を学びたいか…など、とにかくたくさん書き出し、時折報告しに来てくれました。
その結果…
「自分がやりたいことは、理系・文系に分けることができない」
ということに気づいたようでした。それで、理系・文系が複合的になっている学部の存在を知り、その大学のAO入試にチャレンジすることにしたのでした。
AO入試の準備をしていく中で、大学で学びたいことがかなりクリアになっていたので、合格できるものと思っていました。ですが、残念ながら不合格となってしまいました。彼は、どちらの可能性も考えて、しっかり受験勉強もしていたので、何一つ慌てることなく、一般受験に頭を切り替えて、受験勉強を重ねました。
AO入試でチャレンジした大学にも再びチャレンジしましたが、残念ながら「補欠」となり、合格には至りませんでした。別の大学には合格したのですが、なぜかその大学はしっくりこなかったようです。
そこで、悩んで出した結論が…
「浪人する」
ということでした。浪人をして、自分が何に関心があるのか、学問としてどんなことをしたいか、もっともっと自分と対話をしたいと思ったそうです。そして、大学という枠にとらわれずに、また同年齢の方だけではなく、いろいろな年齢の方と関われる社会的な活動をしたいという意欲も芽生え、それにもチャレンジしたいと思うようになっていきました。ですが、その活動をするにあたり、代表の方には、次のようにアドバイスをされていました。
「一緒に活動してくれるのは嬉しいけど、大学に合格するまでは、受験勉強が優先だよ」
と。それで、すぐにでも活動したいという気持ちをセーブしつつ、自分と向き合うことにしたのです。1年間じっくり自分と向き合いながら、自分のペースで受験勉強をした結果、晴れて翌年大学に合格することが出来ました。高3の時にAO入試を受けた大学とは別の大学ですが、理系と文系が複合的に学べるというところで、彼がしたいことをするにはぴったりなところだと思いました。
高校3年生にとって、その先の進路を決めるのはなかなか難しいし、勇気のいることだと思います。ですが、ここに紹介した彼のように、納得いくまでとことん自分と向き合うことが、良い選択へと結びつくのだと思います。彼の大学生活は充実しているようで、最近は近況を聞きませんが、また良い便りが来ることを楽しみにしていたいと思います。