電車通学への憧れと現実

中学校3年生にとって、部活を引退し、期末テストも近づいているこの時期、そろそろ本格的に高校選びを始めるかと思います。ご本人・親御さんにとって、高校受験が初めての受験という方も多いかと思います。

保護者の立場で、先輩のお母さん方から、現実的な高校選びのお話を聞く機会がありました。その時に話題になった、「電車通学の憧れと現実」について書きたいと思います。

地域の公立の学校に通う場合、中学校までは徒歩または自転車なので、高校は、初めて自分の定期券を持って、電車通学ができるチャンスですね。そういう理由で、電車通学に憧れを抱いている生徒さんもいるのではないでしょうか?

ある男子高校生は、部活を重視して高校選びをしたそうです。いくつか行きたい学校のうち、自転車で行ける学校もあったのですが、下り方面ならあまり混んでいないし、大丈夫だろうと思い、学校や部活の雰囲気も自分に合っているというのが一番の理由だったのですが、電車で行く学校に進学することを決めました。

電車通学自体に不満はなかったのですが、その学校に通う生徒は比較的近隣の人が多く、1時間ほどかけて通学する生徒は少数派だそうです。加えて、部活の練習や試合などで、早朝集合・遅い時間に終わることも多く、通学に1日2時間とられるのは、その分家にいられる時間が短くなるので、思っていたより大変だと感じているとのことでした。

保護者の方も、小・中学校ほどではないにしても、学校行事や面談等で学校に行かなければならないので、例えば20分の面談のために、往復で2時間かけて行かなければならないのが、負担に感じるそうです。

一方、ご家庭の事情で、「自転車で行けるところに行ってくれたらありがたい」ということをお子さんに伝え、中学生の本人も悩んだ結果、自転車で10分程度で行ける高校に進学した方がいました。電車で行く学校に憧れを抱いていたようですが、やりたい部活もあり、学校も近くて通学も楽なので、今となっては満足している様子とのことでした。

親御さんの立場では、なるべく本人が行きたいと思っている学校に行かせてあげたいと思われるでしょうが、通学時間・手段を含めて、高校生活なのです。本人が行きたい学校に進学できるのが一番ですが、通学も含めて、本当にその学校に行きたいかを、シュミレーションしてみてはいかがでしょうか?お子さんはどうしても目の前のことしか見えないことが多いと思うので、親御さんの立場から、お子さんには、近い学校・遠い学校のメリット・デメリットをお話ししてあげること、そして時には理解してもらうことも大事なのかと思います。

なお、私事で恐縮ですが、自分の両親に、兄弟が多いことを理由に、「公立の高校で、自転車で行ける学校以外は認めない」と言われていました。たまたま行きたい学校は、自転車で行ける範囲にあったので良かったのですが、当時、自宅から自転車で行ける学校が数校しかなく、選択肢が狭まったことを大変不満に思っていました。

しかし、高校に入学して、自転車で20分弱で通学できるメリットは、とても大きかったです。睡眠時間を十分に確保できる、友人より長く部活に当てられる、忘れ物をしたとしても学校には十分間に合う、買い食いしない(=お小遣いが減らずに済む)、勉強時間も長くとれる、朝そんなに早起きしなくて良い…など、枚挙にいとまがありません。

電車通学に憧れている中3生の皆さん、自宅から自転車で通えるような通学時間が短くて済む学校も、ぜひ選択肢のひとつに入れて、メリット・デメリットを検証してみたらいかがでしょうか?