女子高生の、ステキな解決方法

ある日のこと。中3の時に担任をしていた、高1(当時)の女子生徒(以下、Aさん)に、通勤・通学の電車でばったり会いました。近況報告もそこそこに、彼女は深刻な顔をして、

「●●さん(以下、Bさん)、今年も同じクラスなんだけど、今、大変なんだよね~」
と、その様子を話してくれました。

Bさんは、友達を作るのがあまり上手ではない生徒で、だいたい一人でいます。Aさんは、そんな一人になりがちなBさんに気配りできる、とても優しい性格の持ち主。彼女と一緒のクラスだから安心していましたが、どうやら、Bさんは、Aさんの優しさだけでは満足できなくなってしまったようです。

Bさんは、高校生になり、高校から新しく入ってきた友達ができました。彼女にとって、ものすごく嬉しいことだったと思います。ですが、親しくなるにつれ、その新しい友達に対し、傷つける言葉を発してしまったそうです。その結果、距離を置かれてしまい、一緒にお弁当を食べてもらえなくなってしまったそうです。Bさんはそれが嫌で、ますます攻撃的になってしまい、新しい友人たちたちはますますBさんを避ける…という悪循環な状況とのこと。

Aさんは、自分が一緒に食べてあげたい気持ちはあるのですが、Bさんのことを受け入れられない友人たちとも仲が良いので、それもしにくいと話してくれました。

そんな話をしているうちに、学校に着いてしまったので、「何かあったらまた話してね」と言って、Aさんと別れました。


一週間後、また電車でAさんとばったり。例の話は、急展開していました。

Aさんによると、中学から上がってきた別の友人(以下、Cさん)が、Bさんが一緒にお弁当を食べたいとこだわっていることを解決する名案を考えて、実行してくれたそうです。その案とは…

毎日、クラス全員で、教室で一つの輪になって、お弁当を食べる!

というものでした。この方法なら、Bさんも一緒に食べたいと思っている子たちと、一緒に食べていることになるし、疎外感も味わわなくてすみます。Bさんに苦手意識を持った子たちも、執拗に一緒に食べようと言われたり、そのことで傷つくことを言われたりすることもなく、少し離れた場所にいれば、無理して会話をしなくても良いからです。

Cさんのすごいところは、Bさんの性格を理解して、クラスの仲間に理解してもらって、協力してもらったことです。男子生徒含め、みんなに理解してもらえたのは、彼女の人望がなせる技!彼女の成長ぶりには、本当に関心しました。

ちなみに、BさんとCさんは、中1の時に同じクラスで、CさんはBさんの性格をよく理解していたこと、AさんのようにBさんを受け入れてくれる子がいたことが功を奏したと思います。

この学校は、幼稚園から大学までありますが、各学校段階で入試を行っていて、ずっといてもいいし、途中から入ってきても良いという、風通しの良さがあります。

一貫校ならではの長い付き合いの上に、風通しの良さが相まって、クラスの問題を上手く解決した彼女たちに、心から拍手したいです。こういう点が、一貫校ならではの魅力だなあとしみじみ思った出来事でした。